きそにっき

アウトプットします。

僕は、服を買うのが苦手だ。

当然のように、小中高と服は親に買ってもらっていた。しかも親がかなりの時間をかけて、ああでもないこうでもないと服を選ぶので、僕にとって服を買いにいくというイベントはただただうんざりするものだった。さらに、小中高と制服を着用する学校で育ち、私服を着る時間が非常に少なかったことも、自身のファッションへの関心を薄れさせていった。

大学に進学し、下宿を始め、周りに私服がおしゃれな友人が増えたことで、僕もそろそろ自分の服について考えなければいけないと思い始め、幾度か自分の足で服屋にも行ったが、3年間で買えた服は2〜3着程度。他は帰省している時か、親がこちらに来ている時に買っていた。たしかにオシャレへの意識は昔と比べてかなり高まったが、下宿生活によって必要以上にお金にストイックになり、結局服を買うのをためらってしまうので、未だファッション音痴は克服できていない。

 

このような僕の服への消極性のせいで、今日までずっと僕を困らせていた問題が一つあった。それは、ベルトである。

中高と使ってきたベルトが大学2年生の頃に全て寿命を迎え、ユ◯クロで新しくベルトを購入せざるを得なくなった。至って普通の、茶色の合成革ベルトである。

しかしこのベルトが、緩い。穴が5つしか開いてないにも関わらず、1番内側の穴に金具を通してもまだ緩い。前まで使っていたベルトはどこにでも金具を通せるタイプだったので、いくらでもきつく締められたものだが、これはそうもいかない。せっかく裾上げしてもらったズボンがどんどん下がり、裾が汚れていく。

この問題に直面した時、まず思い浮かんだ解決法は「ベルトを切る」という方法だった。中高の制服につけていたベルトはもれなくバックルを取り外し、切って長さを調節していた。僕は、当然このベルトもそうやって調節できるものだろうと思い、バックルの裏を確認した。

そこで僕は愕然とした。

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お分かりだろうか。バックルが外せないのである。

僕は絶望した。なぜ試着をしなかったのか。なぜ前と同じタイプを買わなかったのか。しかし、2,500円ほどを消費して買ったベルトである。新しく買い直すのももったいない。と、ここで僕のファッションへの消極性が発動する。

結局、この緩いベルトを、僕は1年間騙し騙し使ってきた。積極的にシャツを入れ、腹を隠し、ズボンが落ちないように努力した。しかし、それでも我慢の限界がやってきた。

 

何とかしてベルトに新しい穴を開けられないだろうか。この発想に至るまでに1年。相当な時間がかかった。

 

ネットで調べたところ、方法は2つあった。

①ユ◯クロへ持っていき、穴を開けてもらう(無料)。

②100均で穴開けポンチを買い、自分で開ける(ポンチ、ハンマー込みで216円)。

①は流石にないだろう、と僕は即断した。買ってから1年経ったベルトに店頭で穴を開けてもらう、という行為のどこに恥ずかしさを感じずにいられようか。もし店員に対応してもらえなかったら目も当てられない。残された選択肢は②しかなかった。

僕は思いつく限りの近所の100均を漁り、最終的に新京極のダイソーでポンチとハンマーを購入した。そこそこ大きなダイソー店舗じゃないと売っていない可能性が高い。

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パッケージを開けた後の写真で申し訳ないが、左の2つの短い棒が穴開けポンチである。それぞれ直径4mmと5mmの穴を開けられる。

帰宅してすぐ、僕は4mmのポンチとハンマーを手に取り、一心不乱にベルトにポンチを打ち付けた。近隣の部屋から苦情が来てもおかしくないレベルの爆音と振動が鳴り響いた。

 

格闘することおよそ15分。

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開いた。

 

1番右のまん丸い穴である。少し形と位置がイレギュラーだが、気に留める人はいないだろう。

早速試し巻きをした。緩すぎず、キツすぎず、ちょうどいい締まり具合。1年間も僕を悩ませてきたベルトは、ようやく救われたのだった。